今日は工場長に初めて執筆頂きました。私もロスト動輪が大好きで、Oナローに屡々(尤も最近のは黒メッキ等してあって少し好みに合わなくなっています)採用されると迷わずに買ってしまい、ロスト部分輪心部分だけ無塗装にします。一般に実物とは異なるものになるのですが、模型らしくて完成した後、目を細めて見ています。その蘊蓄を工場長から。
幣工房の蒸気機関車の動輪の製作にあたりこだわった部分がいくつかあります。その内幾つか紹介しますと、先ず輪芯のブラスのロストワックスキャスト製の採用、次にクランクピン、さらにもう一つタイヤ絶縁であること(これは拘りというより構造上必須条件)となります。写真はポーター8トンの動輪製作に必要な構成部品で合計21点あります。写真右上にあるロスト輪芯は左右の直径が異なります。
これはタイヤ絶縁に必要な処置で、即ち絶縁側動輪はタイヤと輪芯との間に絶縁材を挿入する必要があり、その絶縁材の厚さ分だけ輪芯の直径をマイナスする必要があるからです。次にクランクピンですが、一般にロッド取り付けに際しては、ネジを使うか、ピンを圧入もしくは接着剤で固定する方法になるわけですが、M1マイナス段付きネジの入手が困難であること、また入手できたとしても頭が大きくなり過ぎてナローの小型蒸気には向かないこと、組立調整塗装などの際分解も必要なところから、圧入、接着を避ける必要もあり、結局一から設計製作したものです。
1枚目の写真左下がそのクランクピンで、頭にねじ込み用突き出しピンを設けて有り、ここをピンバイスで咥えてねじ込みます。(実際ロッド取り付け作業もマイナスネジをスクリュードライバーでネジ込むよりも余程楽に出来ます。)そして調整後この突き出しピンを切り落とします。
幣工房の蒸気用動輪は現在3種類φ7、φ6、φ5.2で全て同じ構造です。現在某機関車用φ4.7のスポーク動輪の開発を進めており、これはさらに凝ったものになりそうです。いずれかの機会に紹介させて頂きます。
・・・ということで、4.7φが楽しみです。尤も私としては、もっと小さなスポークのみならず、ボックス動輪が欲しいところであります。画像クリックで大きな画像がポップアップします。


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