何か急に寒くなって,昨日,今日とひたすら体に堪えました.長~い遅延の後,ポーター8トン量産がやっと姿を見せ始めたところかなと思っています.実初作は,もう2年以上前だと思います.静岡殿と知り合って,先ずこんな機関車なのでモニタで組んでみてと言われお預かりしたのが1番最初のトライアルだったと思います.
「あっれ~ こんな小さな機関車にロッド駆動ですか」とびっくりして聞いたことを覚えています.ああ、台枠がこんなのだからね.ギヤが見えるの嫌だし,と言われ,成る程と合点がいきました.それにしてもロスト中心のキットの迫力は凄まじく,本当にOナローのキットを組んでいるような錯覚に陥ります.その時は,リード線とかの処理が面倒で,これは大変だなと思いつつ,一寸,時間はかかりましたが走りました.おおお,音がしない,当たり前のことですが,ウォームと駆動軸ギヤの間にギヤ1枚なので,後転時に少しロッドがこすれる音がするくらいで正転時は真に静か,すべるような走りでした.後で聞いてみると,ロッドはワンオフの直接削りだしだった由で,成る程,CADは凄いわと思った次第です.
さらに驚くべきは,火室ディテールで,ポーター小型機独特のものが精密,かつ綺麗に再現されています.昔,Grandt Lineのプラキットを組んだことがあるので,その凄さが分かります.矢張り,その機関車が好きなことは重要なのだなと思いました.
静岡殿は遠慮もあるのか何でも自己解決を図ろうとするので,それが何時まで経っても量産出来ない理由ですと率直なところを言いましたら,どんと作業が下りて参りました.森はキャスト待ちでそれが出来てくれば,ロスト部品にタップを開けつつ後,数台,御予約頂いたキットのシャシを半完成状態にする大変な作業があります.ポーターは,せめてサイドロッドだけかけて,お客様に渡してねという静岡殿の要望で,ロッドをかけてスムーズに動輪のギヤを詰めで回して,一切引っかかりのないようにしています.
むぅ.これは昔きた道.イギリスのマイナーブランド,ロッド駆動が多かったですね.日本のJNR,Oナローもロッド駆動なので,まあ慣れたもんじゃんと安易に作業にかかったのはいいのですが,私担当の超精密高級E板にロッドを書き忘れていたという迂闊さです.元々静岡殿が用意していたロッドを使わざるを得ません.結構これが厚い材料のE板の場合効いてきます.ここのは一度プリントアウトした上に,バッチによって少し表裏がずれている場合もあるので,ウリントアウト時に収差で若干の寸法の狂いが出て来る上に,E板そのもののずれ.一寸,丸ヤスリを数ターンさせて,ロッドピンに合わせたくらいでは,2箇所以上で引っかかってとてもとても商品にはなりません.
結局解決は,ギヤ駆動の穴の開け方で解決しました.前輪は上下に寸法のブレを逃がし,後輪は進行方向に逃がすやり方です.下手に大きな穴を開けると,ロッド駆動の場合,今度は走らなくなりますので,少し擦っては装着の繰り返しで,5時間くらいで引っかかりがなくなりました.お陰様で,少し線路を傾けるだけで惰性で走るまで軽くなりました.大体,感触がつかめましたので,今度は時間を短縮出来そうです.ロッドピンの端が長いですが、ここをピンバイスにくわえて装着させ、調整が終われば、後はここを切り離せばいいという、作業上のスグレモノです。大体、ここの1mmボルト装着っていつもは鬱陶しい作業で堪らないのですが。
同じくらい大変なものにインスト作りがあります.既にキャブは数ヶ月前に作ってあったのですが,このSuper-detailをどのように分かりやすく作って頂けるかで,色々工夫が必要になってきます.CADのこのような図は非常に助けになります.場合によっては写真より分かりやすいものかも知れません.
庵原は本日,委託先に確認に静岡殿が言ったらしいのですが,矢張り工具のブレを数ミクロン単位でセットすることが,下請けさんでは無理らしく,今から,俺がよっぴいてやり直すと電話がありました.他人様と違うことをするのは本当に,コストがかかり,骨が折れます.



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